ジムには通っている。でも…1日のほとんどを座って過ごしていませんか?
「運動する時間」と「それ以外の時間」の大切な関係
「健康のために運動しなきゃ!」
そう思って、週に1回、2回、3回とジムに通っている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、ジムで運動することはとても大切です!!
筋力を維持したり、体力を高めたり、身体を動かす習慣をつくったり。
「運動する時間」をわざわざつくることには、たくさんの意味があります。
……でも、ここでちょっと考えてみてください。
ジムにいる時間って、1日のうち何時間でしょう?
たとえば、1回30分の運動を週3回行ったとしても、1週間で運動している時間は90分。
一方で、私たちは1日24時間、365日を過ごしています。
つまり――
健康づくりを考えるとき、本当に大きな割合を占めているのは「ジムにいる時間」ではなく、「ジムにいない時間」なんです。
ここで大切になってくるのが、
「運動不足」と「座りすぎ」は、実は少し違う
という考え方です。
「運動しているから、座りっぱなしでも大丈夫」ではない?

たとえば、こんな1日を想像してみましょう。
朝起きて、車や電車で通勤。
↓
デスクワークで8時間座る。
↓
帰宅して夕食。
↓
ソファでテレビやスマートフォン。
↓
そして寝る。
でも、週に3回はジムに通っている。
さて、この人は「運動不足」でしょうか?
ジムに通っているので、もちろん運動する習慣はあります。
ただし、もうひとつ考えたいのが、
「それ以外の時間に、どれくらい身体を動かしているか」
です。
世界保健機関(WHO)の身体活動・座位行動に関するガイドラインでも、成人は座っている時間を減らし、座位時間を身体活動に置き換えることが健康に役立つとされています。つまり、「運動する時間をつくる」ことだけではなく、1日の中で座っている時間を減らすことも大切ということです。
「座る」と「立つ」では、身体の活動量が全く違う
ここ、意外と知られていないポイントです。
私たちは「運動しているか、していないか」で考えがちですが、身体はもっと細かく活動しています。
たとえば、
座っている
↓
立っている
↓
歩いている
では、身体が使っているエネルギーも変わります。
座位から立位に変えるだけでもエネルギー消費は増えます。
研究をまとめたメタ解析では、座っている状態から立っている状態に変えることで、エネルギー消費量は平均して約0.15kcal/分増加すると報告されています。単純計算すると、1時間あたり約9kcalの差です。
「たった9kcal?」と思うかもしれません。
そうなんです。
立っているだけで劇的に痩せるわけではありません(笑)。
ここを「立っていればダイエットになる!」と解釈するのはちょっと違います。
大切なのは、
身体は「じっとしている」より「立つ」、さらに「立つ」より「歩く」ことで、より多く活動する
ということ。
実際、座る・立つ・歩くを比較した研究では、歩行時のエネルギー消費は座位や立位より大きくなっています。
だからこそ、日常生活の小さな「動く」が積み重なっていきます。
「NEAT(ニート)」って聞いたことありますか?

ここで、ちょっと面白い言葉をご紹介します。
NEAT(ニート)
という言葉です。
これは、
Non-Exercise Activity Thermogenesis(ノン・エクササイズ・アクティビティ・サーモジェネシス)
の略で、日本語では「非運動性活動熱産生」などと呼ばれます。
なんだか難しそうですが、簡単に言えば、
「運動以外の日常生活で身体を動かすことによって使われるエネルギー」
のこと。
たとえば、
通勤で歩く
階段を使う
掃除をする
洗濯物を干す
買い物に行く
子どもと遊ぶ
仕事中に立つ
コピーを取りに行く
電話をしながら歩く
家の中をこまめに動く
こうしたものも、すべて身体活動です。
つまり、
「運動していない=身体を動かしていない」ではない
んです。
逆に言えば、ジムで30分運動していても、その後ずっと座っている生活なら、1日の大部分は「座っている時間」ということになります。
「座りっぱなしはタバコと同じ」って本当?

ここでよく聞くのが、
「座りっぱなしはタバコと同じくらい身体に悪い」
という話。
実際に「座ることは新しい喫煙だ」という表現が広まったことがあります。
ただし、これはそのまま事実として受け取るのは注意が必要です。
喫煙と長時間の座位行動は、健康への影響の大きさや仕組みが異なるため、「座ること=タバコと同じ危険性」と単純に比較することはできません。研究でも、このキャッチコピーには注意が必要だと指摘されています。
では、なぜこんなに強い表現が生まれたのでしょう?
それは、
「運動していない時間の過ごし方も、健康を考えるうえで無視できない」
ということが、さまざまな研究から分かってきたからです。
長時間の座位行動は、死亡リスクや心血管疾患、2型糖尿病などの健康指標と関連することが報告されています。WHOも、座位時間を減らすことを推奨しています。
だから、
「タバコと同じだから怖い!」
ではなく、
「運動している人も、座っている時間が長すぎないか一度見直してみよう」
くらいに考えるのがちょうどいいでしょう。
じゃあ、30分ごとに立たなきゃダメ?
ここも最近よく見かけますよね。
「30分座ったら立つ!」
「20分ごとに歩く!」
など、さまざまな数字があります。
実際、長時間座っている間に短時間の歩行や身体活動を挟むことで、食後の血糖値やインスリンなどに良い影響が見られた研究があります。最近の研究でも、座位を中断して短時間歩くことの効果が検討されています。
ただし、
「全員が必ず30分ごとに立たなければならない」
というように、ひとつの数字を絶対的なルールにする必要はありません。
大切なのは、
何時間もほとんど動かない状態を当たり前にしないこと。
「気づいたら何時間も座っていた……」
という状態を少しずつ減らしていきましょう。
「立つ」だけじゃなく「ちょっと歩く」がさらにおすすめ
座りっぱなし対策というと、
「スタンディングデスクを買おうかな?」
と思う方もいるかもしれません。
もちろん、仕事中に立つ時間をつくるのもひとつの方法です。
でも、もっと簡単なのは、
「ちょっと歩く」こと。
たとえば、
職場なら
・水を取りに行く
・トイレに行く
・電話するときに立つ
・コピーを取りに行く
・遠い方の給湯室を使う
・エレベーターの代わりに階段を使う
自宅なら
・テレビのCM中に立つ
・スマホを見る時間を少し歩きながらにする
・掃除をこまめにする
・洗濯物をためずに動く
・買い物で少し歩く
・食後に少し散歩する
こんな小さなことでもOK。
「運動しなきゃ!」と構えなくても、
生活の中に“ちょっと動く”を増やす
だけでいいんです。
そして、ここで誤解してほしくないこと
ここまで読むと、
「じゃあジムに行かなくても、普段歩いていればいいの?」
と思うかもしれません。
それも違います!(笑)
ジムで行う運動には、日常生活のちょっとした動きだけでは得にくいメリットがあります。
筋力を高める。
体力を高める。
身体を動かす能力を維持する。
普段はあまり使わない筋肉にも刺激を入れる。
自分の身体と向き合う時間をつくる。
こうした「意識して行う運動」も、健康づくりには大切です。
つまり、
「ジムで運動する」か「日常生活で動く」かではありません。
どちらも大切。
イメージするなら、
ジムでの運動
「運動する時間をつくる」
+
日常生活
「動いている時間を増やす」
この2つです。
1日の「23時間ちょっと」をどう過ごす?

ここが、今回一番お伝えしたいところです。
たとえば、ジムで30分運動したとします。
その30分はもちろん大切。
でも、1日は24時間。
30分を除けば、まだ23時間30分あります。
週に3回30分運動しても、ジムにいる時間は1週間で90分。
それ以外の時間の方が、圧倒的に長いですよね。
だからこそ、
「ジムで何をするか」だけではなく、
「ジムにいない時間をどう過ごすか」
にも目を向けてみてほしいのです。
たとえば、
「今日は仕事が忙しくてジムに行けなかった」
そんな日があっても、
「じゃあ今日は何もしていない」
ではありません。
通勤で歩いた。
階段を使った。
買い物に行った。
家事をした。
昼休みに少し歩いた。
食後に散歩した。
それだって、身体を動かした大切な時間です。
今日からできる「座りっぱなし対策」5つ
難しいことを始める必要はありません。
まずは、この中からひとつだけでも。
① 「立つ用事」を増やす
水分補給、コピー、電話、ゴミ捨てなど、ちょっとした用事を「身体を動かすきっかけ」に。
② 長時間座り続けることを避ける
「気づいたら数時間座っていた」を減らす。
タイミングを決めて一度立つだけでもOKです。
③ 近い場所なら歩く
車やエレベーターを使う前に、
「ここ、歩けるかも?」
と一度考えてみる。
④ 家でも“ちょこちょこ動く”
掃除、洗濯、片付け、買い物なども立派な身体活動。
「家事=面倒な作業」だけではなく、「身体を動かす時間」と考えてみましょう。
⑤ もちろん、ジムでの運動も続ける!
日常生活の活動量を増やすことは、ジムでの運動の代わりではありません。
「ジムでしっかり運動する」+「普段もこまめに動く」
この両方を大切にしましょう。
「運動する日」だけ頑張る身体づくりから卒業しよう
健康づくりというと、
「週に何回運動する?」
「何分運動する?」
「何キロ走る?」
ということに目が向きがちです。
もちろん、それも大切。
でも、本当に長い目で見るなら、
「運動している時間以外をどう過ごしているか」
にも目を向けてみましょう。
ジムで30分頑張ったあと、
8時間ずっと座っている。
それよりも、
ジムで30分運動して、
仕事中にこまめに立って、
少し歩いて、
階段を使って、
家でも家事をしながら動く。
そんなふうに、1日の中に小さな活動を散りばめる。
それだけでも、身体との付き合い方は変わってきます。
「ジムに行く日」だけが健康づくりじゃない。
私たちが身体を動かす時間は、ジムの中だけではありません。
朝、ベッドから起き上がる。
通勤する。
階段を上る。
仕事中に立つ。
買い物に行く。
家事をする。
散歩する。
そして、ジムで運動する。
全部、つながっています。
だからこそ、
「今日はジムに行けなかった……」
と落ち込む必要はありません。
その代わり、
「今日はどれくらい身体を動かしたかな?」
と考えてみてください。
そして、ジムに来た日は、
「よし、今日はしっかり身体を動かそう!」
でOK。
運動する時間も大切。
でも、それと同じくらい、
ジムにいない時間をどう過ごすかも大切。
「週に何回運動するか」だけではなく、
「1日の中で、どれくらい座りっぱなしを減らせるか」
にも、ぜひ目を向けてみてください。
今日からいきなり生活を全部変える必要はありません。
まずは、
「そろそろ立とうかな」
「ここ、歩いてみようかな」
その小さな一歩から。
健康づくりは、ジムの30分だけでつくられるものではありません。
ジムでの運動と、そこへ向かうまで・帰ってからの毎日の積み重ね。
その全部が、あなたの身体をつくっていきます。