「関節がポキポキ鳴るけど大丈夫?」気になる“関節の音”の正体って?
「膝を曲げるとポキッと鳴るんですけど、大丈夫ですか?」
「肩を回すとゴリゴリ音がするんです」
「昔は鳴らなかったのに、最近になって関節がよく鳴るようになって……」
運動や身体のケアについてお話ししていると、こんな「関節の音」に関するご相談をいただくことがあります。
たしかに、自分の身体から「ポキッ」「パキッ」「コキコキ」「ゴリゴリ」と音がすると、
「骨が削れているのかな?」
「軟骨がすり減っている?」
「年齢のせい?」
「このまま動かなくなったらどうしよう……」
と、不安になってしまう方もいるかもしれません。
でも、実は関節が鳴る=関節が悪くなっているとは限りません。
関節の音には、いくつかの種類があり、その原因もさまざま。
今回は、そもそも関節はどんな構造になっているのか、なぜ音が鳴るのか、年齢とともに音が増える理由、そして「放っておいても大丈夫な音」と「一度チェックしたほうがよい音」の違いまで、できるだけ分かりやすく解説します!ぜひ、最後までお付き合いください。
そもそも「関節」ってどんなもの?
まずは、関節の仕組みを簡単に見てみましょう。
私たちの身体には、骨と骨がつながっている「関節」がたくさんあります。
膝、股関節、肩、肘、手首、足首……。
身体を曲げたり伸ばしたり、歩いたり、腕を上げたりできるのは、関節が動いてくれるおかげです。
では、骨と骨がそのままゴリゴリと擦れながら動いているのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
多くの関節では、骨の端に「軟骨」という柔らかく弾力のある組織があります。
軟骨は、簡単にいうと骨同士が直接ぶつからないようにするクッションのような役割をしています。
さらに関節の周りは、「関節包」という袋のような組織で包まれています。
この関節包の内側には「滑膜」という組織があり、そこから「関節液」と呼ばれる液体が作られます。
関節液は、関節の動きを滑らかにしたり、軟骨に栄養を届けたりする役割があります。
つまり関節は、
骨
↓
軟骨というクッション
↓
関節液などによって滑らかに動く
↓
周囲を筋肉や腱、靭帯などが支える
というように、さまざまな組織が協力しながら動いているのです。
この複雑な仕組みの中で音が鳴るため、「関節の音」といっても原因は一つではありません。
「ポキッ」という音の正体は?
関節を曲げたり伸ばしたりしたときに鳴る「ポキッ」「パキッ」という音。
その原因のひとつとして考えられているのが、関節液の中で起こる変化です。
関節の中には、関節液という液体があります。
関節を急に動かしたときなどに、関節の中の圧力が変化すると、関節液の中に気体の空洞ができたり、その状態が変化したりすることで音が発生すると考えられています。
例えば、指を「ポキッ」と鳴らす音。
これは「骨が折れた音」でも「軟骨が削れた音」でもありません。
関節の中の圧力変化によって生じる音と考えられており、痛みや腫れなどの症状がなければ、基本的には大きな問題ではないことが多いとされています。
「ポキッと鳴った=骨が悪くなった」
というわけではないのです。
「ポキッ」だけじゃない!関節の音にはいろいろある

一口に「関節が鳴る」といっても、音の種類はさまざまです。
例えば、
ポキッ、パキッ
という乾いた音。
これは、先ほど説明したような関節内の圧力変化などが原因の場合があります。
一方、
コキコキ、パキパキ
と、関節を動かすたびに繰り返し鳴る音は、腱や靭帯などが骨の出っ張りを乗り越えることで音が発生している可能性もあります。
腱というのは、筋肉と骨をつなぐ組織。
靭帯は、骨と骨をつなぎ、関節を安定させる役割を持つ組織です。
例えば、身体を動かしたときに腱が骨の近くを通過する際、その動きによって「パチン」「コキッ」という音がすることがあります。
この場合も、痛みがなければ問題にならないことが多いでしょう。
さらに、
ゴリゴリ
ジャリジャリ
ギシギシ
といった音がする場合は、関節の表面や周囲の組織の状態が関係していることもあります。
特に、音と一緒に痛みや腫れ、動かしにくさなどがある場合には注意が必要です。
大切なのは、「どんな音がするか」だけではなく、「音と一緒に何が起きているか」を見ることです。
音が鳴るだけなら、基本的には大丈夫?
では、
「痛くないけど、膝がポキポキ鳴る」
「肩を回すとゴリゴリいう」
という場合はどうでしょうか?
結論からいうと、痛みや腫れ、熱感、動かしにくさなどの症状がなければ、関節の音だけで過度に心配する必要はないケースが多いです。
関節の音は、健康な人でも起こることがあります。
特に、身体を動かしたときに毎回音がするからといって、それだけで「関節が壊れている」「軟骨がなくなっている」と判断することはできません。
音がすることそのものより、
「痛みがあるか」
「以前より動かしにくくなっていないか」
「腫れていないか」
「日常生活に支障が出ていないか」
といったことのほうが重要です。
例えば、膝から音がしても、痛みなく普通に歩けているのであれば、それだけで大きな問題があるとは限りません。
一方で、「音がするようになった」だけでなく、「最近、膝が痛くなってきた」「階段の上り下りがつらい」「正座ができなくなった」などの変化がある場合は、一度医療機関で相談してみると安心です。
年齢とともに「関節が鳴る」と感じる人が増えるのはなぜ?
「若い頃はそんなに気にならなかったのに、最近、身体を動かすとあちこちから音がする……」
そんな方もいるかもしれません。
年齢を重ねると、関節の音が気になるようになる人が増える理由には、いくつか考えられます。
① 関節周りの組織が変化する
年齢とともに、筋肉や腱、靭帯などの柔軟性が変化します。
身体を動かすときに、筋肉や腱がスムーズに動かず、周囲の組織との動き方が変わることで、音を感じやすくなることがあります。
例えば、以前はスムーズに動いていた肩や膝でも、筋肉の柔軟性や関節の動きが変化すると、「コキッ」「ゴリッ」と音がするようになることがあります。
② 筋肉量や身体の使い方が変わる
年齢とともに筋肉量が減少すると、関節を支える力も変化します。
特に、運動不足が続くと、身体を動かす機会そのものが減り、関節周りの筋肉が十分に使われなくなることがあります。
筋肉は、関節を動かすだけではなく、関節を安定させる役割も持っています。
そのため、筋力や身体の使い方が変わることで、関節の動き方にも変化が生じ、音が気になるようになる場合があります。
③ 関節の変化が起こる
加齢に伴い、関節の軟骨や周囲の組織にも変化が起こります。
特に膝などでは、長年の負担や体重、運動習慣、ケガなどさまざまな要因が重なることで、関節の状態が変化することがあります。
こうした変化によって、関節を動かしたときに「ゴリゴリ」「ギシギシ」とした音を感じることがあります。
ただし、ここでも大切なのは、音だけで関節の状態を判断しないこと。
年齢を重ねたから音が鳴る、音が鳴るから軟骨がすり減っている、というように単純に結びつけることはできません。
「関節が鳴る=軟骨がすり減っている」は本当?

これは、非常によくある誤解です。
関節から音がすると、
「軟骨がすり減って、骨同士がぶつかっているのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、関節の音があるだけで、軟骨がすり減っているとは限りません。
軟骨の状態は、音だけでは判断できません。
例えば、変形性膝関節症などの関節の病気では、関節の痛みや腫れ、動かしにくさなどが現れることがあります。
しかし、音がある人すべてに病気があるわけではありません。
反対に、関節に問題があっても、必ずしも大きな音がするとは限りません。
つまり、
「音がある=悪い」
「音がない=問題ない」
というわけではないのです。
関節の状態を判断するときには、痛みや動き、筋力、生活への影響などを総合的に見ることが大切です。
こんな「関節の音」には注意!
では、どんな場合に医療機関などへ相談したほうがよいのでしょうか。
特に注意したいのが、
「音+痛み」
です。
例えば、
- 関節が鳴るときに痛みがある
- 以前はなかった痛みが出てきた
- 関節が腫れている
- 関節が赤くなっている、熱を持っている
- 関節が動かしにくい
- 関節が引っかかる、ロックする感じがある
- 歩く、階段を上るなどの日常動作がつらい
- ケガをした後から音や痛みが出る
- 急に強い痛みや腫れが出た
こうした症状がある場合は、「ただ音が鳴っているだけ」と自己判断せず、整形外科などの医療機関に相談することをおすすめします。
特に、強い痛みや急な腫れ、外傷後の症状などがある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
「関節を鳴らさないようにする」ことはできる?
「音が気になるので、鳴らないようにしたい!」
という方もいるでしょう。
ここで少し考えたいのが、「音そのものをなくす」ことと「関節を健康に保つ」ことは別の話だということです。
関節の音は、原因によっては完全になくすことが難しい場合もあります。
例えば、関節内の圧力変化による「ポキッ」という音は、身体の自然な動きの中で起こることがあります。
そのため、「音をゼロにする」ことを目標にするよりも、
関節がスムーズに動く身体をつくること
を意識するほうが大切です。
そのために重要なのが、
適度な運動
です。
関節を守るために大切なのは「動かすこと」

関節の音が気になるからといって、身体を動かさなくなってしまうのはおすすめできません。
もちろん、痛みがある場合は無理に運動する必要はありません。
しかし、痛みがなく、音だけが気になるのであれば、適度に身体を動かすことは、健康的な身体を維持するために大切です。
身体を動かすことで、関節周りの筋肉を使うことができます。
筋肉は、関節を動かすだけではなく、身体を支えたり、関節を安定させたりする役割があります。
例えば膝であれば、太ももの前側にある「大腿四頭筋」などの筋肉が、膝の動きや身体の安定に関わっています。
股関節であれば、お尻や太もも周りの筋肉が、立つ・歩く・階段を上るといった動作を支えています。
これらの筋肉を適切に使える身体をつくることは、日常生活を快適に送るためにも重要です。
ただし、「鍛えれば鍛えるほど良い」わけではありません
ここで注意したいのが、
「関節を守るために筋トレをしよう!」
と思って、いきなり強い負荷をかけすぎること。
運動は、やればやるほど良いというものではありません。
今の自分の身体の状態に合った運動を選ぶことが大切です。
特に、すでに関節に痛みがある場合や、過去に大きなケガをしたことがある場合は、自己流で無理に運動するのではなく、医師や理学療法士などの専門家に相談すると安心です。
理学療法士は、身体の動きや筋力、関節の動きなどを確認しながら、その人に合った運動や身体の使い方を考える専門家です。
「膝が痛いから膝だけを鍛える」
「肩が鳴るから肩だけを回す」
という単純な話ではなく、身体全体の動きや姿勢、筋肉のバランスなどを見ながら考えることもあります。
「音を消す」より「動ける身体」を目指そう

関節から音がすると、どうしてもその音ばかりが気になってしまいます。
でも、音が鳴ること自体が、必ずしも身体からの「危険信号」とは限りません。
大切なのは、
痛みはないか?
動かしにくくなっていないか?
腫れや熱感はないか?
以前と比べて何か変化はないか?
ということ。
そして、問題がないのであれば、音を恐れて身体を動かさなくなるのではなく、適度な運動を続けていくことが大切です。
筋肉は、年齢に関係なく、適切な運動によって維持・向上を目指すことができます。
ウォーキングやストレッチ、筋力トレーニングなど、自分の身体の状態に合わせて無理なく取り入れてみましょう。
「最近、膝がポキポキ鳴るようになった」
「肩を回すとゴリゴリする」
そんな小さな変化をきっかけに、自分の身体に目を向けてみるのもいいかもしれません。
関節の音を「なくす」ことだけを目標にするのではなく、
痛みなく動けること。
自分らしく身体を動かせること。
これからも元気に歩けること。
そんな「動ける身体」を目指して、今日からできる運動習慣を始めてみませんか?
もし関節の音とともに痛みや腫れ、動かしにくさなどがある場合は、無理に運動を続けず、まずは医療機関に相談してください。
身体の「音」だけに注目するのではなく、身体が出しているさまざまなサインに耳を傾けながら、いつまでも健康に動ける身体を一緒につくっていきましょう!