運動なしのダイエットはありえない!?|管理栄養士マチコ先生のスマートコラム

“運動なしで痩せる”は本当に可能?
スポーツの秋がやってきました!
読者の皆さんの中には、日頃から運動を取り入れている方も多いかと思います。運動は継続することが何より大事。無理のない範囲で、楽しみながら生活に取り入れていきましょう。
最近ではSNSやインターネット上で、“運動せずに食事だけで痩せる!”というキャッチフレーズを目にすることが多いです。管理栄養士として伝えたいのは「ちょっと待って!」ということ。
なぜなら、それでは大切な筋肉が減ってしまう恐れがあるからです。筋肉は単に見た目を作るだけではなく、私たちの代謝にとって非常に重要な役割を果たしています。特に「基礎代謝」と深い関わりがあるのです。
筋肉が代謝のカギ!基礎代謝のしくみとは?
筋肉は、私たちが動いていないとき(安静時)でもエネルギーを消費する、代謝効率の高い組織。つまり、筋肉量が多い人ほど基礎代謝量が高くなり、“太りにくい体”をつくることができます。
基礎代謝量とは、安静にしているときでも生命維持のために使われるエネルギーのこと。心臓を動かす、呼吸する、体温を保つなど、体が自然に行っている働きに必要です。
この基礎代謝量は、1日に消費されるエネルギーの約60〜70%を占めており、その多くが筋肉によって消費されています。
つまり、筋肉が多いほど、何もしなくてもエネルギーを消費しやすくなるということ。基礎代謝量は思春期を過ぎると加齢とともに徐々に低下します。
特に更年期前後には、基礎代謝量の低下に加えて筋肉量も減少するため体重が増加しやすくなり、“中年太り”の原因のひとつとも言われています。人は40歳前後から自然に筋肉量が減っていくため、意識的に運動を取り入れることがとても重要なのです。
糖質と脂肪の関係を理解しよう!
食事から摂取した糖質(ブドウ糖)は、まず体のエネルギー源として利用され、使いきれなかった分は、グリコーゲンという形で肝臓や筋肉に蓄えられます。
しかし、筋肉量が少ないとこの“貯蔵スペース”が不足し、余った糖質は中性脂肪として体に蓄積されやすくなるのです。筋肉が少ない人ほど脂肪をため込みやすい体質になるというわけ。
さらに、間違えた食事制限によるダイエットでは、たんぱく質が不足し、筋肉の材料が足りなくなったり、エネルギー不足で筋肉そのものが分解されてしまったり…。これでは、体重が一時的に減っても、代謝は落ち、リバウンドのリスクが高まるばかり。
健康的に痩せるためには、筋肉を減らさない工夫が欠かせません。
未来の自分を守る「運動+栄養」の習慣づくり
運動によるカロリー消費は少ないと思われがちですが、筋肉を育てることは、美しい体型づくりやリバウンド防止に直結します。さらに、筋肉は将来の健康にも深く関わっており、この点は見逃せません。
私がかつて勤務していた高齢者施設では、筋肉量が多い人ほど、自力で歩く・食べる・着替えるといった日常生活動作(ADL)を維持できていました。筋肉は、健康寿命を延ばすための大きなカギと言えるでしょう。
【筋肉づくりに欠かせない栄養素】
筋肉を維持・増やすためには、たんぱく質だけではなく、以下の栄養素も摂取することが大切です。
- ビタミンD:筋力の低下を防ぐ働きがあります。特に魚類(サケ・サバイワシなど)は、人の体にとって吸収効率が高いD3型が豊富。日光浴からも補うことができます。
- ビタミンB6:たんぱく質の代謝と筋合成に必要。マグロ、鶏胸肉、鶏ささ身、バナナなどに多く含まれます。
また、日本人は年齢とともにたんぱく質の摂取量が減少しやすいため、毎食に意識してて取り入れることが必要です。
ダイエットを成功させたいなら食事だけではなく、筋肉と運動の重要性を忘れずに。
食事+運動の両輪が、体を内側から支え、美しく、健康的なカラダづくりを叶えてくれるでしょう。

【 プロフィール】
- colan栄養サポート 代表
- 管理栄養士・料理家・コラムニスト
【 経歴 】
- 北海道北見市出身
- 天使女子短期大学(現 天使大学) 食物栄養学科 卒業
- 食事指導の企業で食事相談業務を行う
- 雑誌の編集者として取材、文筆業を行う
- 大手料理教室の料理講師として和洋中全般、美容に関する料理を教える
- 高齢者施設では栄養科長/管理栄養士として多くの実績を積む
- 現在はフリーランスの管理栄養士として活動中
- 2020年よりオンライン食事カウセリングを開始
- 2021年よりスマートチェーンでのオンライン食事指導を開始
