運動が終わっても、カラダはまだ働いている!「EPOC」を知っていますか?
「運動が終わったから、消費カロリーもそこで終了!」
……と思っていませんか?
実は、運動を終えたあとも、カラダの中ではしばらく普段より多くのエネルギーを使う状態が続きます。
この現象を、
「EPOC(イーポック)」
と呼びます。
聞き慣れない言葉ですが、運動をしている方やダイエットを頑張っている方なら、知っておいて損はありません。
今回は、「EPOCって一体何?」というところから、なぜ起こるのか、どんな運動で起こりやすいのか、そしてダイエットとどう関係するのかまで、わかりやすくご紹介します!
そもそも「EPOC」って何?
EPOCは、
Excess Post-exercise Oxygen Consumption
(エクセス・ポスト・エクササイズ・オキシジェン・コンザンプション)
の頭文字を取った言葉です。
日本語では、
「運動後過剰酸素消費」
と呼ばれます。
……名前だけ聞くと、ちょっと難しいですよね。
ものすごく簡単に言うと、
「運動が終わったあとも、カラダがしばらく普段より多くの酸素を使っている状態」
のことです。
運動中、私たちのカラダはたくさんのエネルギーを使います。
そして運動が終わると、心拍数や呼吸は徐々に落ち着き、カラダは元の状態に戻っていきます。
ところが、運動をやめた瞬間に、
「はい、終了!すべて元通り!」
となるわけではありません。
運動によって変化したカラダを元の状態へ戻すために、運動後もしばらく酸素消費量が高い状態が続きます。
これがEPOCです。
なぜ、運動が終わってもエネルギーを使うの?

では、なぜ運動後もカラダはエネルギーを使い続けるのでしょうか?
その理由はひとつではありません。
運動後のカラダでは、さまざまな「後片付け」が行われています。
例えば、
● 心拍数や呼吸を通常の状態に戻す
運動中は心拍数が上がり、呼吸も速くなります。
運動を終えると徐々に落ち着いていきますが、すぐに完全に元通りになるわけではありません。
● 体温を調整する
運動によって体温が上がるため、カラダは体温を適切な状態に戻そうとします。
● エネルギーを補充する
運動中に使ったエネルギー源を回復させるためにも、エネルギーが必要です。
● 筋肉などの組織を回復させる
特に筋力トレーニングなど、筋肉に大きな刺激を与える運動のあとは、カラダの回復・修復にもエネルギーが使われます。
このように、運動が終わったあともカラダの中ではさまざまな活動が続いています。
つまり、
運動終了=カラダの活動終了
ではないということです。
EPOCは「運動後ずっと脂肪が燃える」という意味ではありません!
ここは、ダイエットをしている方にはぜひ知っておいてほしいポイントです。
EPOCについて調べると、
「運動後も脂肪燃焼が続く!」
「運動後24時間ずっと脂肪が燃える!」
といった情報を目にすることがあります。
たしかに、運動後は安静時よりもエネルギー消費が高い状態が続くことがあります。
しかし、
「運動後もずっと大量のカロリーを消費する」
という意味ではありません。
EPOCによる追加のエネルギー消費量は、運動の種類や強度、時間、個人差などによって変わります。
特に、軽い運動ではEPOCによる追加消費は比較的小さくなります。
一方で、強度の高い運動や、筋肉を大きく使う運動などでは、EPOCが大きくなる傾向があります。
そのため、
「EPOCがあるから、運動した分以上にどんどん痩せる!」
と考えるのは少し違います。
EPOCはあくまで、
「運動によって増えたエネルギー消費が、運動終了後もしばらく続く現象」
と考えるとわかりやすいでしょう。
じゃあ、EPOCはダイエットに意味がないの?
そんなことはありません!
ダイエットでは、
「1日、1週間、1か月……といった長い期間で、消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスを考える」
ことが重要です。
その中で、運動中のエネルギー消費だけではなく、運動後に起こるEPOCによる追加のエネルギー消費も、積み重なれば消費エネルギーの一部になります。
ただし、EPOCだけを狙う必要はありません。
むしろ、
「EPOCを増やすために、毎回ものすごく激しい運動をしなければ!」
と考える必要もありません。
ダイエットの基本は、
運動を継続すること。
そして、
筋肉を維持・向上させながら、日常生活の活動量も確保すること。
EPOCは、その中のひとつの「知っておきたい仕組み」として捉えるのがおすすめです。
EPOCが大きくなりやすい運動とは?

では、どんな運動をするとEPOCが大きくなりやすいのでしょうか?
一般的に、運動強度が高いほどEPOCは大きくなりやすいとされています。
例えば、
- 高強度のインターバルトレーニング
- 強度の高い有酸素運動
- 筋力トレーニング
- 大きな筋肉を使う全身運動
などです。
一方で、ゆっくりしたウォーキングのような低強度の運動でも、もちろんエネルギーは消費します。
ただし、運動後のEPOCという観点だけを見ると、一般的には高強度の運動ほど大きくなりやすいと考えられています。
ここで大切なのが、
「EPOCを大きくする=ダイエットに最適」ではない
ということ。
運動は「その場の消費カロリー」だけで評価するものではありません。
「激しい運動をすればするほどいい」わけではありません
EPOCを知ると、
「じゃあ、できるだけ激しい運動をしたほうがいいんだ!」
と思うかもしれません。
でも、ここには注意が必要です。
運動の効果は、
強度だけで決まるわけではありません。
例えば、
「ものすごく激しい運動を1回だけして、疲れてその後まったく動かなくなる」
よりも、
「無理なく続けられる運動を週に何回も行い、普段の生活でもよく動く」
ほうが、長い目で見ると身体活動量を確保しやすい場合があります。
また、運動初心者の方がいきなり高強度の運動を行うと、疲労が強くなったり、フォームが崩れたり、運動を続けること自体が難しくなったりすることもあります。
だからこそ、
「自分に合った強度で、継続できる運動をする」
ことが大切です!
実は「筋トレ」とEPOCは相性がいい?

EPOCについて考えるとき、筋力トレーニングも注目したい運動のひとつです。
筋トレでは、筋肉に普段とは違う負荷をかけます。
そのため、運動後にはカラダが回復するためのさまざまなプロセスが必要になります。
また、筋トレを継続することで筋肉量や筋力の維持・向上を目指すことができます。
筋肉は、日常生活の中で身体を動かすために欠かせない存在です。
特にダイエットでは、
「体重を減らすこと」だけに注目してしまうと、筋肉まで減ってしまう可能性があります。
だからこそ、
食事を整える+有酸素運動をする+筋力トレーニングを取り入れる
というように、いろいろな方法を組み合わせることが大切です。
EPOCは、その中の「運動後のエネルギー消費」という面から、運動を知るためのひとつのキーワードになります。
「汗をたくさんかいた=EPOCが大きい」ではありません
これも、意外と勘違いされやすいポイントです。
「すごく汗をかいたから、かなりカロリーを消費したはず!」
と思うことはありませんか?
汗は、主に体温を調節するためにかくものです。
つまり、
汗の量だけで運動によるエネルギー消費量やEPOCの大きさを判断することはできません。
暑い日に軽く歩いただけでも、たくさん汗をかくことがあります。
反対に、涼しい環境で運動すると、それほど汗をかかないこともあります。
「汗をかいた量」ではなく、
どんな運動を、どのくらいの時間、どのくらいの強度で行ったのか
を見ることが大切です。
「運動後も心拍数が高い」=EPOCなの?
これも少し似ています。
運動後に心拍数がしばらく高いのは、運動による身体の変化がまだ残っているためです。
EPOCは、運動後の酸素消費量が安静時より高い状態を指す言葉なので、
「心拍数が高い=EPOCそのもの」
というわけではありません。
ただし、運動後も身体が完全には休息状態に戻っていないことを知るきっかけにはなります。
運動を終えたら、いきなり動きを止めるのではなく、軽く歩いたりストレッチをしたりしながら、徐々に身体を落ち着かせることもおすすめです。
ダイエットで本当に大切なのは「EPOCだけ」じゃない

ここまでEPOCについて紹介してきましたが、ダイエットを考えるうえでは、もっと大切なことがあります。
それは、
「1回の運動でどれだけ消費したか」より、「長く続けられる生活をつくること」。
例えば、
週に1回だけ激しい運動をするより、
・ジムで運動する
・日常生活で歩く
・階段を使う
・座りっぱなしの時間を減らす
・筋力トレーニングをする
・食事を整える
・十分な休養をとる
といった行動を組み合わせることが、健康的な身体づくりにつながります。
特に、運動初心者の方は、
「何をやれば一番痩せる?」
ではなく、
「これなら続けられそう!」
という運動を見つけることから始めてみましょう。
今日からできる!EPOCを意識した運動の考え方

EPOCを知ったからといって、いきなりハードなトレーニングを始める必要はありません。
まずは、
STEP 1|普段より少し身体を動かす
いつもの生活に、
「少し多く歩く」
「階段を使う」
「こまめに立つ」
などをプラスしてみましょう。
STEP 2|筋肉を使う運動を取り入れる
スクワットやヒップリフトなど、自分の体重を使った運動から始めてもOKです。
ジムでは、運動指導スタッフに相談しながら、自分に合ったメニューを見つけるのもおすすめです。
STEP 3|慣れてきたら少しだけ負荷を上げる
「もう少し動けそう」と感じるようになったら、時間や回数、負荷などを少しずつ調整してみましょう。
毎回限界まで頑張る必要はありません。
「今の自分より、ほんの少しだけ」
を意識することが、継続のコツです。
運動の「あと」にも、カラダは働いています
EPOCという言葉を初めて聞いた方も多いのではないでしょうか?
運動をすると、運動している最中だけでなく、その後もしばらくカラダは元の状態に戻るために働いています。
これが、
EPOC=運動後過剰酸素消費
です。
ただし、
「EPOCがあるから運動後にどんどん痩せる」
というものではありません。
EPOCによる追加のエネルギー消費は、運動の強度や時間などによって変わり、ダイエットの結果を決めるほど単純なものでもありません。
だからこそ、
「EPOCを狙って無理な運動をする」のではなく、「EPOCという身体の仕組みを知りながら、運動を継続する」
ことがおすすめです。
運動は、1回頑張ったら終わりではありません。
今日10分動いたこと。
いつもより少し歩いたこと。
筋肉を使ったこと。
ジムに来て身体を動かしたこと。
そんな一つひとつの積み重ねが、未来の身体をつくっていきます。
運動中のカラダだけではなく、運動後のカラダにも目を向けてみる。
そんな視点を持つと、いつものトレーニングが少し面白くなるかもしれません。
次に運動をしたときは、
「今、カラダの中ではどんなことが起きているんだろう?」
と、少しだけ想像してみてくださいね。